京都から車で6時間ほど運転して、奈良・十津川の山深い集落にある古民家『大森の郷』へ。
ものすごく急で細い坂道を登っていくので
「ここであってるのかな…?」と心配しながら運転していると、
地元で管理をされている方が家の近くまで迎えに来てくれて、思わずほっ。
宿泊施設になっている古民家へと案内していただけます。
築100年越えとは思えない、お手入れを丁寧にされた温もりを感じるおうち。
夏に訪れた、徳島祖谷にあるちいおりと同じアレックスカー氏がプロデュースし、古民家をリノベーションした一棟貸しのお宿です。
お宿……とはいえ、
ホテルマンもいなければお掃除や食事のサーブもなくて、
自分たちなりにこの空間で暮らすように生活をする貴重な時間を過ごせる、本当に心地の良い場所。
薪ストーブが置いてあるメインのダイニングと別に2部屋あり、そのうちひとつにはこたつが。
気張らず、のんびりとした時間が流れています。
大きなキッチンと冷蔵庫があり、
事前にお宿へお願いしていると
宿泊分の地元の食材やお米を手配してもらえます。
宿の近くには小さな商店がひとつあり、足りない食材や飲み物があれば歩いて買いに行くことができます。
このお店の方がとてもいい方達で、ほっこりとした会話にぬくもりを感じます。
檜のいい香りがするお風呂もあって、
少し窓を開けて入れば、外のひんやりした空気が流れてきて、旅の疲れもちゃぽんとリセットです。
お風呂だけでなく、水回りもとても洗練されたデザインで使い勝手もとても良いです。
木のぬくもりをたっぷりと感じることができるつくりになっていて、寒いイメージのある水場でもあたたかみのある空間へリノベーションされています。
ちいおりに比べると、とてもコンパクトでより生活にフィットした一軒のおうち。
なので、「生活」の場としてもすっと馴染みがいいです。
どこか懐かしくて、
すっかり忘れてしまっていた、
きっと小さいころは退屈に感じていたような
ただただあたりまえの暮らしを、記憶をなぞるようにこの場所で過ごします。
窓を開けて自然の音に耳を傾けながら
そこに住むように
暮らしや生活を愉しめることは、最高に贅沢だととても思う。
欲しいものはすべてあり、
欲しくないものはない、“必要十分“のお宿。
『持て余す』という意味を考えさせてくれる、素敵な秘境です。
■奈良・十津川村 大森の郷
奈良県吉野郡十津川村大字武蔵487
tel:080-2543-5552
Official website