久しぶりの原美術館へ – Hara Museum / Lee Kit

週末、訪れていた東京で、久しぶりに原美術館へ。

もう何年も前、きっと東京に住んでいた頃に訪れたのが最後で
うっすらとした記憶しかなかったのですが、
品川駅からてくてく歩いて、美術館前のストリートに差し掛かったあたりで
ふと急にあの頃の感覚が浮かび上がってきて
変わらないこのエントランスをみた瞬間、なんだか懐かしい気持ちになりました。

人の記憶って、何かがきっかけで周波数が近くなると
奥底の方から胸の中にぎゅっと戻ってくることがあるんですね。不思議なほどに。

美術館のエントランスにシンメトリーでディスプレイされたプログラムの案内。
絶妙なバランスとこの空間を活かしたセンスの良さが、とても心地よいです。

東京都現代美術館や国立美術館のような大きくて
近未来を感じさせる現代建築とアートがmixしている美術館も好きなのですが、
原美術館のようにもともと私邸だった空間を活かして
リノベーションされている美術館の方が私は好きです。
台湾のように使えるもの、残せるものはうまく活かしながら、
必要最低限な今の風を吹き込んで、気持ちよく共存していくように、
高層ビルやマンションがそびえ立つ東京にもこんな空間が
いつまでも静かに時を刻み続けてほしいな、なんてこっそりと願っています。

そんな原美術館にぴったりのアーティスト、リー・キット(Lee Kit)の日本初の個展『僕らはもっと繊細だった』が開かれていました。
中国返還を経て大きな変化を遂げる香港で活躍していたリー・キットと、
元は原家の私邸であり、第二次世界大戦を乗り越え
GHQから返還された後に美術館として40年の時を経ようとしているこの原美術館の時空を超えたシンクロは、必然的な巡り合わせなのかもしれません。
彼のインスタレーションアートは、
その街、その場所の空気や感情に静かに寄り添い、サイトスペシフィックな作品(特定の場所に存在するために制作すること)を創り上げるのも大きな特徴だと言われています。

最初は断片的に見えていた作品はやがて全てが繋がっていって
昔のことを言っているようで、実はこの瞬間や世界を辛辣に表現しているような、
今でも私たちは気づかないふりをして寄り添いながら
お互いをひどく傷つけあってしまっているやるせ無さと、
それでもみんな、大切な誰かとのあたたかい光を手にしたい希望が入り混じっているように感じました。

街や時代、政治が変わったとしても、
私たちが少し鈍くなってしまっていたとしても、
変わらずに脈々と繋がっていることは確実にあるんだと思います。

人って悲しいけど
それでも誰かにそっと寄り添っていたいのね。

展示を見終わった後は、ミュージアムショップでお買い物。
東京の美術館はショップも楽しいのが、うれしいですね。
奈良美智さんのぬいぐるみを思わず買ってしまいましたー!ひゃー。
Momaの色鉛筆も欲しかったなぁ。

素敵なミュージアム。またいつか来れますように。

原美術館
・Lee kit 『僕らはもっと繊細だった

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